コルセット(腰痛ベルト)を巻くメリットとは?
ではコルセット(腰痛ベルト)を巻くどのようなものがあるのかについて説明します。
コルセットを巻くメリットは大きく2つあります。
①腹圧を高めることにより筋肉などの組織にかかる負担を軽減する。
②動作を制限し痛みを抑える。
まずは腹圧を高めて筋肉などの組織の負担を軽減することが痛めの軽減につながります。腰骨は一個一個が積み木のように連なって背骨になっています。
周りの組織(靭帯・関節・筋肉)がなければ支えがなければ背骨(積み木)は崩れてしまいます。普段私たちが歩いたり、座ったりできるのはこの背骨の周りの組織が腰骨をしっかり支えられているためです。腰痛のあるかたはこの腰骨を支えている組織に何らかの損傷や障害があり上手く腰骨を支えられない状態になっています。損傷や障害を起こしている組織での歩いたり座ったりしたりするためにはしっかりした支えが必要です。
しっかり支えたのですが損傷や障害で上手く支えられないので【痛み】という反応を発信して脳に「その動作を止めてほしい」という信号を出すのです。その【痛み】という信号を発信させないようにするために新たな支えとしてコルセットを巻きます。外から圧力をかけて腰を巻くことにより腰骨の周りの組織が支えられて損傷や障害を起こしている組織を支えてくれます。例えば立つ時「よいしょ!」と腰に手を当てて立つ人もいると思いますが、これも一種の支えを作っている状態と言えます。この外から圧をかけて身体の中の圧を高めることを専門的に《腹圧を高める》と言います。
時に腰痛の原因として多いのが、筋肉です。筋肉は背骨を支えるのにとても大きな役割を担っています。その中でも多裂筋や大腰筋と言った筋肉が背骨を支える代表的な筋肉になります。ぎっくり腰の原因で多いのもこれらの筋肉を損傷することがとても多いです。コルセットを巻くこと(締め付けられる)によりこれらの筋肉の筋出力(筋肉の力を発揮する能力)が高まります。筋肉を締め付けると筋出力が高まるというのは実際にサッカー選手が足首をサポーターで巻いて足首を上げる筋力測定を行うと数値が上がったという論文もあります。
もう一つのコルセットのメリットとしては、《動作を制御》することです。痛みが出ている時は極力動きたくないもので、身体は勝手に痛みの出にくいように動きますが(実際痛みが出ている状況では動きたくないものたと思います)とはいえどどうしても生活を行う以上痛みを伴う動作もあります。コルセットを巻いていると腰の動きを最低限に制御できるので痛みの出る動作を極力避けることが出来ます。【痛み】という反応は《身体がその動作は止めてほしい》という反応なので極力痛みの出る動作は行わない方がよいです。
コルセット(腰痛ベルト)を巻くデメリットとは?
ではコルセットのデメリットとはどのようなことがあるのかについて説明します。
①筋力の低下
②内臓にかかる負担の増加
まずコルセットを巻くデメリットとして筋力の低下があります。コルセットは腰骨の周りの組織を外的に支える働きがあります。特に筋肉を支えを助ける役割があります。これはメリットにもなりますがデメリットとしても働きます。どのようなことかというと「助けられるとさぼってしまう」ということです。いつも100%働いていた筋肉が70%の働きでも腰骨を支えられるので70%の力しか発揮しなくなってしまうのです。コルセットが巻いている期間が長ければ長いほどさぼり癖がついてしまいコルセットがなければ支えられない腰になってしまうのです。70%しか発揮できない筋肉はコルセットを巻いていてもいざというときに腰を支えられないのでぎっくり腰の再発など再発を繰り返してしまうのです。
もう一つのデメリットとして、内臓にかかる負担を増加させてしまいます。コルセットを巻く圧が加わるのは腰骨を支えている組織だけではありません。もちろん腰の周りやお臍の周りには内臓もあります。長期間強く締め付けている場合内臓にも多大なストレスが加わってしまいます。代表的なものに【コルセット肝】というものがあります。これはコルセットを巻くことにより肝臓が圧迫させて委縮してしまった状態のことをいいます。このようにコルセットにはデメリットも存在します。
まとめ
コルセットのメリットとデメリットを理解した上で、腰痛と上手に付き合うことが根本改善の早道になります。コルセットはあくまで対処療法ですのでまずは腰痛の原因を正しく診断し、根本改善に必要な治療を選択することが重要になります。