産後の腰痛の原因とは
産後の腰痛で悩んでおられる方は多いと思います。
当院にも産後の腰痛で悩んでおられる方が来院されますが、原因のほとんどが筋肉なのです。
なぜ筋肉が原因なのかを解説していきます。
妊娠中の腰への負担
お腹の中の赤ちゃんが大きくなると、お腹の重みで重心が前にかかります。
重心が前にかかることで前に転倒するのを防ぐ為、腰を反らして重心を真っすぐにして姿勢を維持するようになります。
この時、腰の筋肉(脊柱起立筋)を使うことで姿勢を維持していますので、出産前の何ヶ月という長い期間脊柱起立筋には負担がかかっているのです。
また、お腹が大きくなるにつれて動く時間や回数も減ってきます。
筋肉は筋肉の周りの毛細血管から酸素や栄養素をもらうことで柔らかい良い状態を保っていますが、動くことが減ると血流量も低下するため、筋肉に酸素や栄養素がうまく行き届かなくなってしまいます。その結果、筋肉はどんどん硬くなり動かしにくさや痛みの原因となってしまうのです。
こういった産前の脊柱起立筋への負担により筋肉が柔軟性を無くし、筋肉が元の良い状態に回復しないまま出産を迎えてしまうので産後に腰の痛みを感じてしまうのです。
出産時の骨盤の開き
骨盤は唯一出産の時に開きます。
これは赤ちゃんが生まれてくるための産道をつくるために開くもので、出産後に緩んだ骨盤を支えるために骨盤周囲の筋肉に負担がかかってしまいます。
また、分娩時に骨盤底筋群が緩んだり傷ついてしまうことでも腰痛の原因となります。骨盤底筋群はインナーマッスルですので、骨盤底筋群が緩んだままだとうまく臓器やお腹を支えることができず、より腰に負担がかかってしまいます。
その結果、腰痛を引き起こしてしまいます。
帝王切開も腰痛の原因に
普通分娩に限らず、帝王切開の場合も腰痛の原因となることがあります。
これは、お腹の皮膚や筋肉にメスを入れるのでその傷口が癒着するとその部分は硬くなり柔軟性が無くなってしまいます。
お腹の部分で癒着が起こると腹筋も硬くなるため、腰に負担がかかってしまうことがあります。
出産後の育児の姿勢
出産後の慣れない育児も腰痛の原因となります。
授乳や抱っこでは長時間同じ姿勢が続いてしまいます。筋肉は20分以上同じ姿勢が続くと硬くなるとも言われています。
姿勢維持筋でもある脊柱起立筋が授乳や抱っこが続くことで硬くなると次第に発痛物質が産生され、腰の痛みの原因となるのです。
また、おむつ替えや抱き抱える際など、何度も前に屈むことも腰痛の原因の一つです。
繰り返し同じ動作を取ることで、筋肉には疲労物質が溜まっていきます。
疲労物質は、筋肉に必要な酸素や栄養素の取り込みを妨害してしまうため、疲労物質の蓄積も筋肉が硬くなり痛みを出してしまう原因となるのです。
トリガーポイントとは
このように、産後の腰痛の原因は筋肉が原因となることがほとんどです。
痛みの引き金となる筋肉の硬さのことを医学用語で『トリガーポイント』と言いますが、産後腰痛の原因もこのトリガーポイントによるものなのです。
まとめ
いかがでしたか?
産後の腰痛は多くの方が悩まされている症状で、骨盤の歪みやズレが原因だと思われておる方も少なくありません。
確かに分娩時に骨盤は開きますし妊娠中にも少しずつ骨盤が開いてきますが、骨盤の開きだけが原因ではないという事を知って頂けたらと思います。
産後の腰痛でお悩みの方でも治療をすることで改善されますので、一度当院にご相談下さい。