「頭痛」とは?
なんと日本人の実に30%以上(15歳以上)が「頭痛持ち」であるというデータをご存知ですか。
約3千万人が頭痛で悩んでいるという計算です。しかし、単なる頭痛と侮るなかれ。生活に支障をきたすほどの痛みをともなうものや病気の原因、大きな疾患のサインであることもあるのです。
頭痛は大きく分けると、病気ではなく繰り返し起こる頭痛(一次性頭痛)と、病気を原因とする頭痛(二次性頭痛)があります。また、一次性頭痛はいくつか分類され原因もさまざまあります。
ちなみに「頭痛持ち」の症状は、一次性頭痛にあたります。主な原因として、首や頭部周辺の筋肉の緊張、頭部の血管の拡張などと考えられています。

一次性頭痛は、「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」の3つのタイプに分けることができます。
それぞれの特徴として、緊張型頭痛は筋肉が緊張することで発生するとされ、片頭痛は血管が拡張することで発生するとされています。群発頭痛の患者は一次性頭痛の中でも割合として少なく男性が多いのが特徴です。
また「緊張型頭痛・片頭痛混合型」は、両方の症状を繰り返すタイプで、頭痛の90%を占めると言われています。
「頭痛」 〜 緊張型頭痛
「孫悟空頭痛」とも呼ばれ、頭が締め付けられるような痛みをともないます。
緊張型頭痛は発作性の頭痛ではなく、慢性的に一日中かつ毎日のように持続的に続くことが特徴です。
下記に当てはまる方はぜひ当院にご相談ください。
後頭部を中心に、頭全体が締め付けられるような重い痛み
肩こり、首のこりをともなう痛み
軽いめまいも併発することがある
1日の終わり(夕方以降)に痛みが出る
デスクワーク(PCでの作業)の最中や作業後に痛む
処方された薬に効果が実感できない
温める、動かすと楽になる
「頭痛」 〜 片頭痛
片頭痛を「頭の半分が痛む病気」と思っておられる方が多いようですが、両側が痛む場合もあります。
また30歳までに発病することが多く、95%くらいは若い時期に発病すると言われています。
下記に当てはまる方はぜひ当院にご相談ください。
「ズキン、ズキン」という波打つような強い痛み
頭痛が起きる前に、チカチカした光が見えることがある
頻度は月に1~2回
動くとガンガンと頭に響く
吐き気や嘔吐をもよおす
「頭痛」 〜 群発頭痛
頭痛の中で特に強い痛みをともなうと言われます。
痛みの特徴としては片側の眼窩部を中心とする激痛があり、一定期間(群発期)に集中しておこります。1日で何回か発作があることもあります。
下記に当てはまる方はぜひ当院にご相談ください。
目をえぐられるような激しい痛み
2~3週間続く痛み、頻度は月に1~2回
痛みが現れるのは1〜2時間のことが多い
男性に多く、寝入りばなに多い。
内頸動脈(目の後ろ)が拡張して炎症が起きるためではないかと言われています。さまざまな説はありますが、なぜ炎症が起きるかは不明な点が多いです。
頭痛と筋肉の密接な関係

首や肩まわりの筋肉は頭の重さを常に支えている状態です。首は細く体重の約1/8の重い頭を支えているので、筋肉に負荷がかかっているのです。
日常生活では首が前かがみになる時間も多いです(デスクワークやスマホなど)。首や肩まわりの筋肉にはこの状態で大きな負担がかかります。負担がかかり続けた筋肉は頭痛を発生させる原因となってしまうのです。
筋肉に継続して負荷をかけると酸素不足や栄養不足になり硬化します。その状態が続けば筋肉内にしこりができます。そのしこりがやがてトリガーポイントという状態になります。トリガーポイントを発生させて筋肉は痛みの物質を出して、人体が感知するのです。
頭痛に関連する筋肉-01
〜 頭半棘筋(とうはんきょくきん)
頭痛に関連する筋肉に「頭半棘筋(とうはんきょくきん)」があります。首から後頭部に位置する筋肉で主に頭を支えるのが役割です。
頭半棘筋はデスクワークなど首を前に倒す動作で使われます。疲労が蓄積し後頭部から締め付けられるような頭痛が出現します。
頭痛に関連する筋肉-02
〜 僧帽筋(そうぼうきん)
側頭部に痛みを出す原因に「僧帽筋(そうぼうきん)」という筋肉があります。僧帽筋は後頭部から首、肩、背中にかけて位置する大きな筋肉。頭の重さを支え、腕を吊り上げています。
僧帽筋が硬くなることで側頭部や顎、首などに関連痛を引き起こすとされ、片頭痛と似た症状 が現れます。
頭痛に関連する筋肉-03
〜 胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)
前述したように群発頭痛の原因はまだ解明されていませんが、目やその周囲、目の奥の痛みは「群発頭痛」と診断される場合もあります。
「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」は、目の奥などから痛む頭痛と関連があります。この筋肉は鎖骨や胸骨から頭蓋骨に付いている筋肉で首を曲げたり回したりする動作(クルマの運転など)に機能します。
この胸鎖乳突筋が硬くなり痛みを出すと、目の周りに痛みが現れます。
「頭痛」 〜 二次性頭痛(ご注意ください!)
くも膜下出血や脳腫瘍など、緊急性を要する病気の可能性がある二次性頭痛。
突然起こる強い頭痛、手足の麻痺やしびれ、痙攣や激しい嘔吐、高熱などをともなう場合には、直ちに専門医の診察を受けてください。すぐに病院へ行く必要があります。
くも膜下出血や脳腫瘍など、緊急性を要する症状
突然の強い頭痛
今まで経験したことがない頭痛
いつもと様子の異なる頭痛
強い痛みだけでなく、高い頻度
初発の頭痛(50歳以降は注意)
神経脱落症状を有する頭痛
がんや免疫不全の病態を有する患者の頭痛
精神症状を有する患者の頭痛
発熱・項部硬直・髄膜刺激症状を有する頭痛